区分経理

 公会計に特有の概念の一つに「区分経理」がある。もちろん、企業会計でも原価計算のために区分して経理することはあるが、公会計における区分経理は、それとはニュアンスを異にする。

 公会計での「区分経理」は例えば、特別会計の設置理由として現れる。それは、特別会計の設置法において「その歳入歳出を一般会計と区分して経理するために」と表現される。つまり、必ず、収入と支出が一体のものとして本体から分離されるのである。これは公会計の基本が現金主義の反映であることによるわけだが、その根拠は、公会計の規範の最大のものが税金の使途を明らかにするところにあるからである。  この区分経理は、何も特別会計だけではない。例えば補助金の交付条件にも見られる。補助金によっては、補助金の交付を受ける者に、補助金の区分経理用に口座を作り、補助事業の支払をその口座で行うべきことを定めているものもある。それは、あくまでも税金の使途は明確でなければならない、という規範が働いているからである。

 なお、念のため、申し添えるが、特別会計で区分経理されている国庫金は一般会計と区別して金庫にしまっているわけではない。一般会計の国庫金とともに日本銀行の政府口座の「一般部」(現在もこう言うかは未確認)を構成して繰替使用されているわけであるから御心配なく。

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