村役場収入役背任事件

【お断り】
 たまたま、目に付いた資料を取っておいただけで、データベースからの検索などは行っていませんので、漏れが多々あると思います。
平成13年1月27日 土佐山村助役が記者会見して事件を公表
 村では村長が全職員を集めた緊急集会と村議会の全員協議会で事件を説明。
 事件は、昭和57年(1982年)1月から平成12年(2000年)12月までの18年間在職していた前収入役岩崎某(74)が、昭和61年頃から平成12年にかけて、助役席に置いてある村長の公印を勝手に使用して、4金融機関に約13億5千万円を一時借入金として融資させて村の口座に入金させた後引き出して私的に使用したり、村の財政調整基金など約1億7千万円を取り崩して着服したりしていたというもの。
 被害額は同村(人口約1300人)の年間予算約13億円を上回る規模で、使途は先物取引やギャンブル。
 発見の経緯は、前収入役が病気を理由に退職した後に収入役を兼務することになった助役が引き継ぎ作業をして1月4日に村名義の不審な借入金が判明したもので、同村の調査で判明。
 同村は、村長印が盗用されたもので村の負債ではないと主張し、金融機関は村の負債であると主張。

 報道によると、過去に自治体の特別職が公金を横領した事件は、和歌山県下津町の出納室長が昭和57年からの約2年半に暴力団幹部に脅されて町の年間予算に匹敵する約30億円の公金を着服した事件や、富山県利賀村の収入役が平成5年からの5年間に約1億7500万円を着服した事件などがあるという。下津町のケースでは、10億円は貸し出した金融機関が負担し、残り20億円を町が節約して13年掛けて返済。

平成13年 1月29日 2金融機関が一次借入対象外であったことが判明
 1次借入れの対象金融機関は村条例で7金融機関が指定されていたが、不正借入れの4金融機関のうち2機関は対象外であり、12年12月に前収入役の要請による条例改正で追加されていた。

平成13年 1月31日 監査をどう逃れたかの手口が報道される
 毎日の報道によると、前収入役は月例監査と決算監査で村の預金通帳を提示する際に、残高が記載された最終ページだけを監査委員に素早く示して監査を終了させていたとのこと。
 共同通信は、前収入役が役場事務の電算処理化に反対していたことを紹介。13年1月からの電算処理導入が決まると12年12月に突然「一身上の都合で辞める」と言い出して辞任したとか。入力を他人に任せざるを得ないために覚悟して辞めたのではないかとの職員の証言を紹介。

平成13年 2月 2日 共同通信が事件の背景を報道
 共同通信は事件が看過されてきた背景として、前収入役が「村長も一目置く大先輩」であったこと、「監査委員には通帳の残高部分だけを見せ、収支があっているように見せ掛けていた」こと、昭和35年(1960年)に役場に入り「勤続40年、役場の最古参を疑う職員はだれ一人いなかった」ことを上げる。そして、会計の電算化に反対していたこと、収支に関する一切の書類を他人に触らせようとしなかったことを紹介。

平成13年 2月 6日 共同通信が前収入役のインタビューを配信
 インタビューによると、不正流用のきっかけは、村の経理上のミス。流用は収入役2期目の初めくらい。
 また別に、監査委員と前収入役との馴れ合いを窺わせる職員の証言を報道。

平成13年 2月 8日 村議会が調査特別委員会を設置

平成13年 2月 8日 県警が前収入役を逮捕
 容疑は、詐欺、有印公文書偽造、同行使。

平成13年 3月29日 村議会で調査特別委員会の最終報告と問責決議
 最終報告では「村長をはじめいずれの幹部職員も職責が果たせていなかった。また議会も村のチェック機能を果たしていなかった」。

平成13年 7月 6日 高知地検が追起訴
 事件の一部について起訴していた高知地検が追起訴して、全額が起訴される。使途は、飲食店に勤める女性に渡したり(11人に4億7千万円を渡したと後に報道される。)、自宅や車の購入に使ったり、とされている。

平成13年 7月23日 信金中央金庫が村を提訴
 不正融資のうち3億円を融資していた信金中央金庫が、土佐山村を相手に返還請求を提訴。提訴は高知銀行、四国銀行に続いて3行目。

平成13年12月    高知地裁で懲役12年
 前収入役に懲役12年の判決。判決で「形式的な監査が被害を拡大させる一因になった」と指摘される。その後、確定。

平成14年 2月15日 村再建委員会の報告書で歴代監査委員の責任追及
 15日に村再建委員会が村長に提出した報告書で、流用が始まった昭和60年以降の監査委員10人のうち故人を除く7人に、不正経理を見抜けなかった道義的責任として在任中の報酬の全額約350万円を村に返還することを求めること提言された。

平成14年 4月28日 元監査委員3人が報酬相当額180万円を村に寄付
 2月以降順次寄付していたとか。

平成15年10月14日 四国銀行に対する村の提訴の第一回口頭弁論
 訴えは、村の指定代理金融機関として地方自治法施行令などに違反し、公金を指定金融機関の高知市農協の口座に振り替えなかったということらしい。結局、四国銀行の村に対する提訴とあわせて審理されることになった模様。

HOME