外務省管理職内閣官房報償費着服事件

【お断り】
 たまたま、目に付いた資料を取っておいただけで、データベースからの検索などは行っていませんので、漏れが多々あると思います。
平成13年 1月 5日 外務大臣が事件報道後初の記者会見
 「(外務大臣)また、今申し上げたとおり新世紀を迎えて意欲を燃やして仕事に取り組もうという、その一番最初のところで、一部報道にも「幹部の不祥事云々」という記事があった。誠に残念であると同時に、事実関係をできるだけ早く明らかにして、その事実が明らかになれば国民の皆様にもお詫びをしなければならないというふうに思っているところである。官房長をヘッドにして調査チームをスタートさせたところである。この点については、外務大臣として残念至極という気持ちである。」
 この時点では、詐取された公金の性格については
「(問)報道にあるような「外交機密費」という費目はあるのか。
(外務大臣)外務省報償費という費目はある。 」
といったやりとり。

平成13年 1月18日 横領された公金が内閣官房報償費であるとの報道
 外務省で平成5年から6年間要人外国訪問支援室長を勤めていた松尾某が個人の銀行口座に入金していた公金を競走馬やマンションの購入など私的に流用した疑惑で、それまで外務省の報償費と考えられていた金が外務省の内閣官房報償費であったと毎日がスクープ

平成13年 1月19日 前室長が就任後に内閣官房からの公金受領方法を変更していたと報道される
 従来、訪問先を所掌する原課が公金を受領していたのを前室長が単独で受領する方法に変更

平成13年 1月25日 外務省が内部調査の結果を公表
 調査書には流用した資金が「官邸で交付された公金」と記載されているが、河野外務大臣は記者会見で公金はすべて内閣官房報償費だったと断定。
 調査報告では、口座に入金された総額は5億6千万円でうち公金は3億1千万円、平成9年頃から競走馬15頭を1億4千万円で購入、少なくとも5頭分54百万円が私的流用とし、ほかに五つのゴルフ場会員権を43百万円で購入、10年には8千万円を共同購入して後に単独所有としたなどとされている模様。  外務省は、松尾前室長を懲戒免職し、業務上横領容疑で警視庁に告発、官邸は被害届け。

平成13年 2月 8日 交付額は9億65百万円
 福田官房長官が衆院予算委員会で前室長が在任中の平成5年8月から6年間に行われた46回の首相外遊の際に、内閣官房職員や随行員の宿泊費の差額分として内閣官房報償費から支出された金額が9億65百万円だったと答弁。

平成13年 2月21日 外務省機能改革会議が初会合
 外務省が有識者7人に、横領問題の再発防止策と外務省の信頼回復策について5月までの提言を求めた外務省機能改革会議が初会合。座長は毎日新聞社社長。

平成13年 3月 2日 衆院予算委員長が異例の挨拶
 衆議院の野呂田予算委員長が13年度予算の議決後に「この際、一言ごあいさつを申し上げます。去る二月七日の審査開始以来、終始真剣なる議論を重ねていただきましたが、特に報償費に関しては、その透明性の確保、管理の適正をいかに図るかに多くの議論がなされました。当委員会の審議の経過にかんがみ、政府におかれても、これらの問題についてより一層の対処を強く望むものであります。」と挨拶。

平成13年 3月10日 警視庁が前室長を逮捕
 警視庁捜査2課が松尾前室長を詐欺の容疑で逮捕。詐取したものは、首相一行の規定宿泊費とホテル代実費との差額を補填する名目で支出された内閣官房報償費。

平成13年 4月20日 外務省の調査委員会が最終報告
 1月に荒木副大臣を責任者に発足した内部調査委員会が最終報告をまとめ、副大臣が記者会見して発表。「外務省においては、組織の運営の中でありうべき問題を察知し、これに対応するような早期警戒システムが欠如」していたことを指摘。また、「作業の過程において、専門的知見を有する第三者として、住田邦生弁護士及び神林比洋雄公認会計士から随時助言を頂きました。このうち、神林公認会計士からは、この組織に関わる問題に関し、近年民間企業等で組織管理のあり方についての検討のために活用されている手法に基づき、外務省の内部調査で判明した問題点について分類・整理を行うことが有益ではないかとの助言を頂きました。調査委員会では、このような助言を受けて、神林公認会計士の指導を頂きつつ、内部調査で判明した問題点について分類・整理を行いました。このような民間における手法を活用するということは、今後の改善策の検討に当たって示唆に富むものと思われます。このため、外務省事務当局に対し、今後の組織のあり方を検討する際の参考として活用するよう指示したところです」と紹介。

平成13年 4月24日 外務省機能改革会議が提言を提出
 報道によると、提言は「国民のための外交・国民とともに歩む外交」、「効率的かつ効果的な外交体制」、「強力な外交のための人事体制改革」、「不正と疑惑の根絶」の4項目。

平成13年 4月27日 田中外相が就任後、初の定例記者会見
 報償費の質問に関しては、メディアに対して慎重な姿勢を示した。

平成13年 9月27日 会計検査院長が内閣総理大臣及び外務大臣に対して是正及び改善の処置要求
 要求の内容は「内閣官房において松尾事件に係る損害額を早期に確定し、債権を保全するための措置を引き続き講ずるとともに」、「内閣官房と外務省との間における事務及び経費の分担の明確化」、「報償費の執行体制の整備」、「内部確認、監査体制の構築」の3項目の処置。文書では、宿泊費差額の支払に当たって作成されていた関係資料が会計検査院に提示されないまま、「領収証書では円換算額で16億0788万余円に相当する「US$12,899,186.85」と記載されているのに対し、松尾元室長が同領収証書に併記していた円換算額及びそれに基づく精算書の金額は「16,072,385円」となっていて、それが見落とされた」事例もあるとしており、監査人の悔しさが垣間見える。

平成14年 2月 1日 川口大臣就任後、初の定例記者会見
 報償費については、言及も質疑も無し。

平成14年11月29日 会計検査院が13年9月の要求の事後処置状況を平成13年度決算検査報告に記載
 当局が「マンションの売却代金、銀行預金等351,278,062円を回収した」こと、「総理外国訪問に係る内閣官房と外務省の間における事務及び経費の分担が明確化された」こと、「報償費の執行体制を整備した」こと、「報償費が適正に使用されているかどうかの確認を内部で行うことができる体制を構築した」ことを記載。
 ほかに、全省庁を対象として「国の機関が内部監査として実施する会計監査の状況について」検査した状況も記載。

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